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女性の薄毛(FAGA)は何科?治療法の選び方と市販薬・費用の考え方
「分け目が広がった気がする」「ヘアゴムで結ぶと、前より毛束が細い」「シャンプーのたびに抜け毛が気になる」。女性の薄毛は、男性のように生え際が大きく後退するよりも、頭頂部を中心に髪全体がじわじわ細く、少なくなる形で進むことが多く、気づいたときには不安だけが大きくなりがちです。
調べ始めると、皮膚科、薄毛専門クリニック、市販薬、ミノキシジル、内服薬、頭皮への注入と、選択肢が一気に増えます。費用も市販薬から自由診療まで幅があり、「どこで、何を、いつまで続ければいいのか」が見えにくい分野です。
この記事では、次の5つを順に整理します。
- 何科に行くか(皮膚科と薄毛専門クリニックの違い)
- 日本皮膚科学会のガイドラインが、治療法ごとにどう評価しているか
- 市販薬(第1類医薬品)の使い方と、効果を判定するまでの期間
- 費用の考え方(月額ではなく、年単位の総額で見る)
- 国内未承認の薬をすすめられたときに聞くこと
この記事について
「美肌の処方箋 編集部」が、日本皮膚科学会のガイドライン(公式サイトで公開されている最新版は2017年版です)、厚生労働省・PMDA(医薬品医療機器総合機構)の公開資料を2026年10月24日に確認してまとめました。この記事は、特定のクリニックや商品への申し込みをすすめるものではありません。診断や治療方針を示すものではありません。薄毛の原因や合う治療は人によって異なるため、実際の判断は医療機関の診察で行ってください。
女性の薄毛(FAGA)とは?受診前に知っておきたい基本
女性の薄毛は、医学的には「女性型脱毛症(FPHL:female pattern hair loss)」と呼ばれます。「FAGA(ファガ)」は、女性のAGAを指す呼び名として、広告やクリニックのサイトでよく使われる言葉です。
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」には、女性の特徴として次の点が書かれています。
- 男性と異なり、頭頂部の比較的広い範囲の髪が薄くなるパターンで現れます
- 発症の時期も男性と異なり、更年期以降に多くなります
- 男性ホルモンの影響だけでは説明できない場合もあり、国際的には「男性型」ではなく「女性型脱毛症」という病名を使うことが多くなっています
女性の薄毛は「頭頂部の広い範囲」に出やすい
日本皮膚科学会ガイドライン(2017年版)の記述をもとに編集部が作成した模式図です。進み方には個人差があり、診断は診察で行います。
薄毛に見えても、別の原因が隠れていることがあります
もう一つ大切なのが、薄毛に見えても、別の原因が隠れていることがあるという点です。ガイドラインは、診断の際に次のような原因を除外することが大切だとしています。
- 慢性休止期脱毛
- 膠原病や慢性甲状腺炎など、全身の病気に伴う脱毛
- 貧血
- 急激なダイエット
- ホルモン補充療法や薬剤による脱毛
- ゆっくり全体が薄くなるタイプの円形脱毛症
「薄い」と感じたときに考えられる主な原因
- 女性型脱毛症頭頂部を中心に髪が細く、少なくなる
- 休止期脱毛出産、強いストレス、急な体重減少などをきっかけに抜け毛が増える
- 全身の病気・貧血甲状腺の病気、膠原病、貧血などが背景にある場合
- 薬の影響・円形脱毛症服用中の薬や、ゆっくり全体が薄くなる円形脱毛症
ガイドラインが診断時に除外するとしている原因をもとに編集部が整理しました。見分けるには診察と検査が必要です。
「抜け毛が急に増えた」「数か月前に出産した」「無理なダイエットをした」「疲れやすい、冷えなど体調の変化もある」といった場合は、治療薬を探す前に、原因の確認を先にするほうが安全です。出産や避妊ピルの中止をきっかけにした脱毛は、後述する女性用の市販薬(リアップリジェンヌ)でも使用の対象外とされています。貧血や極端なダイエットが気になる方は、肌と体を支える食事の基本|主食・主菜・副菜と栄養の考え方を整理も参考になります。
女性の薄毛は何科?皮膚科と薄毛専門クリニックの違い
結論から言うと、最初の相談先は皮膚科が選びやすく、そのうえで治療の選択肢を広く見たい場合に、自由診療の薄毛専門クリニックも比較する、という順番が考えやすいです。どちらが優れているということではなく、得意な範囲が違います。
受診先を決める流れ
- まず皮膚科薄毛の原因が何かを診察で確認する
- 治療を相談市販薬で始めるか、処方で進めるかを決める
- 選択肢を広げたいとき自由診療の専門クリニックも比べる
- 説明と同意費用・期間・副作用・薬の承認状況を確認する
一例です。通いやすさや、これまでの経過によっても順番は変わります。
| 観点 | 皮膚科 | 薄毛専門クリニック(自由診療) |
|---|---|---|
| 診療の中心 | 皮膚・毛髪・頭皮の病気全般。円形脱毛症、頭皮の皮膚炎など薄毛以外の原因も診ます | AGA・FAGAなど薄毛に特化した診療 |
| 保険診療 | 円形脱毛症や頭皮の皮膚炎など、別の病気が見つかった場合は保険診療になることがあります。FAGAの治療薬そのものは、公的医療保険の対象外(自由診療)が一般的です | すべて自由診療(保険適用外)です |
| 治療の選択肢 | 提案する内容は医療機関によって異なります。自由診療で薄毛治療を行う皮膚科もあります | 院内調剤のオリジナル処方や機器を使う院があり、内容は院ごとに異なります。国内未承認の薬を使う院もあります |
| 検査 | 問診・視診のほか、必要に応じて血液検査などを行います(内容は医療機関によって異なります) | マイクロスコープでの頭皮診断や血液検査を行う院があります。診察料や検査料の扱いは院ごとに異なります |
| 通いやすさ | 全国に数が多い | 土日・夜間の診療、オンライン診療に対応する院があります |
| 確認したい点 | 薄毛治療に力を入れているか(事前に問い合わせると安心) | 費用の総額、未承認薬かどうか、やめるときの方針 |
ガイドラインの免責事項には、保険適応外の治療や未承認薬を使う場合は、各医療機関の承認と、患者さん本人のインフォームドコンセント(十分な説明と同意)が前提と書かれています。どこで受けるにしても、この「説明と同意」が十分に行われるかが、判断の軸になります。
早めに受診したいサイン
次のような場合は、薄毛の治療を探す前に、皮膚科で相談することをおすすめします。
- 数週間から数か月のあいだに、抜け毛が急に増えた
- 円形や斑状に、境目がはっきりした抜け方をしている
- 頭皮にかゆみ、赤み、フケ、痛みがある
- 出産後、ダイエット後、強いストレスのあとに抜け毛が増えた
- 疲れやすさ、動悸、冷え、月経の乱れなど、髪以外の変化もある
治療法ごとの位置づけ|日本皮膚科学会ガイドライン2017年版
ここからは、治療法ごとに「ガイドラインでの評価」「効果の限界」「リスク・副作用」「国内承認の有無」を整理します。
推奨度の読み方
ガイドラインの推奨度は、研究データ(エビデンス)の質と量をもとに決められています。C2とDは、効果がない、または有害であることを示すデータがある場合の区分です。一部の項目は委員会の合意で決められています。
| 推奨度 | 意味 |
|---|---|
| A | 行うよう強く勧める |
| B | 行うよう勧める |
| C1 | 行ってもよい |
| C2 | 行わないほうがよい |
| D | 行うべきではない |
女性型脱毛症での主な治療法の推奨度
女性型脱毛症での推奨度(濃いほど強い推奨)
日本皮膚科学会ガイドライン(2017年版)の女性型脱毛症の推奨度をもとに編集部作成。推奨度は研究データの質と量をもとに決められ、個人に合うかどうかを示すものではありません。
| 治療法 | 女性型脱毛症での推奨度 | ポイント |
|---|---|---|
| ミノキシジル外用(1%) | A | 女性にはミノキシジル1%の外用が推奨されています。国内に女性用の市販薬があります |
| フィナステリド内服 | D | 女性を対象とした試験で、プラセボ(偽薬)との差が確認されませんでした。妊娠中は禁忌です |
| デュタステリド内服 | D | 女性を対象とした臨床試験は実施されていません。妊娠中は禁忌です |
| ミノキシジル内服 | D | 国内では内服薬として承認された医薬品がありません |
| LED・低出力レーザー照射 | B | 男女共通の推奨度。女性を対象にしたランダム化比較試験も実施されています |
| アデノシン外用 | C1 | 女性型脱毛症では「行ってもよい」 |
| 自毛植毛 | C1 | 人工毛植毛は D(行うべきではない) |
| 成長因子導入・細胞移植療法(PRPなど) | C2 | 「行わないほうがよい」とされています |
| スピロノラクトン内服などの抗アンドロゲン薬 | 設問なし | 2017年版では評価の対象になっていません |
この表は、日本皮膚科学会の公式サイトで公開されている2017年版(2017年12月発行)にもとづきます。同サイトで公開されているこの診療ガイドラインは、2026年10月24日時点で2017年版のみでした。発行後の研究は反映されていません。また、推奨度は「その治療が自分に合うか」を決めるものではなく、ガイドライン自身も、医師の裁量権を規制するものではないとしています。
外用ミノキシジル(1%):女性で推奨度A
ガイドラインでは、女性型脱毛症に1%ミノキシジルの外用が推奨度Aです。女性280人を対象とした24週間のランダム化比較試験では、脱毛部1cm²あたりの非軟毛(細くない毛)の数が、プラセボ群で平均2.03本、1%ミノキシジル群で平均8.15本増えたと紹介されています。
数字から読み取れるのは、数か月で劇的に増えるというより、1cm²あたり数本ずつ増える程度の変化が試験で確認されたということです。見た目の変化の大きさには個人差があります。
リスクと注意点は次のとおりです。
- 有害事象として、かゆみ、赤み、フケのような落屑、毛包炎、接触皮膚炎、顔の多毛などが報告されています
- 使い始めの時期に、男女とも一時的に抜け毛が増える(休止期脱毛)ことがあり、それが中止につながる場合があるとガイドラインは指摘しています
- 女性381人を対象に2%と5%を比べた48週間の試験では、皮膚症状は5%群14%、2%群6%、プラセボ群4%でした(1%を比べた試験ではありません)。2%と5%の有害事象の差については見解が一致していないとガイドラインは述べており、女性に推奨されているのは1%です
フィナステリド・デュタステリド:女性には推奨されていません
AGAの治療で中心になるフィナステリドとデュタステリドは、女性型脱毛症では推奨度Dです。
- フィナステリドは、女性137人を対象にした1年間の試験で、硬毛の数がプラセボ群と有意に違わなかったと報告されています
- デュタステリドは、女性を対象とした臨床試験が実施されていません
- 両剤とも、妊婦に投与するとDHTの低下により男子胎児の生殖器官などの発育に影響を及ぼす恐れがあり、妊婦、妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性への投与は禁忌です
女性にこれらの薬を処方すると言われたときは、その理由と、妊娠の可能性があるときの扱いを必ず確認してください。
ミノキシジル内服:国内未承認で、ガイドラインは推奨度D
ミノキシジルは、国内では頭皮に塗る外用薬としてのみ承認されています。厚生労働省の事務連絡(2018年10月30日)には、「国内では、内服薬として承認された医薬品はありません」と明記されています。
ガイドラインも、内服ミノキシジルを男女ともに推奨度D(行うべきではない)としています。理由は、利益と危険性が十分に検証されていないためです。
- 内服用製剤の添付文書には、胸痛、心拍数の増加、動悸、息切れ、呼吸困難、うっ血性心不全、むくみや体重増加などの心血管系の重い障害が生じるとの記載がある、とガイドラインは指摘しています
- 全身の多毛症が起こることがあります
- 男性型脱毛症の治療薬として認可している国はない、とガイドラインに書かれています(2017年時点)
- 厚生労働省の事務連絡では、医療機関で医師が個人輸入した国内未承認の発毛薬(ミノキシジル2.5mg錠、フィナステリド1mg錠、ビタミン類の錠剤)を約3週間服用した40歳代の男性に、肝機能障害が生じた事例が報告されています。女性の事例ではありませんが、未承認薬の服用で健康被害が起こりうることを示す公的な報告です
- 個人輸入された未承認薬による健康被害は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外です(厚生労働省)
スピロノラクトン(抗アンドロゲン薬):薄毛は適応外
スピロノラクトンは、もともと利尿薬・降圧薬として使われる薬です。PMDAのスピロノラクトン製剤の添付文書情報に記載された国内の効能は、高血圧症、各種の浮腫、原発性アルドステロン症の診断と症状の改善で、薄毛は含まれていません(適応外使用になります)。
- 添付文書には、連用すると高カリウム血症などの電解質異常があらわれることがあり、定期的な検査を行うこと、高カリウム血症の患者には禁忌であることが書かれています。そのほかの主な副作用として、月経不順、無月経、閉経後の出血、女性型乳房・乳房腫脹などが挙げられています
- 妊婦または妊娠している可能性のある女性には、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ」投与するとされています。授乳については、成分が母乳中に移行することが認められているため、授乳の継続または中止を検討するとされています
- 女性型脱毛症に対する海外の論文(2023年、5件の研究・413人を対象にしたシステマティックレビュー)では、頭皮のかゆみ・フケの増加が約19%、月経異常が約12%、顔の多毛が約7%で報告されました。一方で、脱毛が改善しない、または改善が小さい人も約38%いました。研究数が少なく、確かな結論を出すにはさらなる検討が必要です。月経異常の約12%は信頼区間が非常に広く(約1〜59%)、数字の精度は高くありません。スピロノラクトンは国内で薄毛の治療薬として承認されておらず、この論文は効果を保証するものではありません
頭皮への注入療法(成長因子導入・細胞移植療法など)
成長因子や細胞を用いた頭皮への注入治療は、ガイドラインで推奨度C2(行わないほうがよい)です。解説では、これまでの臨床試験の多くが限られた施設・症例数で行われていることや、再生医療等の安全性の確保等に関する法律に沿った施術が必要なものが多く、現時点では広く一般に実施できるとは言い難いことが理由に挙げられています。2017年版の評価であり、その後の研究は反映されていません。
LED・低出力レーザー照射
推奨度はBで、女性を対象にしたランダム化比較試験(3件)も実施されています。ガイドラインは、評価対象の機器について「国内ではまだ認可されておらず、光源の種類・波長・出力は報告によって様々」と注記しています。推奨度Bは特定の機器を推奨するものではありません。機器を検討するときは、その製品が国内で承認・認証されているかを製品ごとに確認してください。
自毛植毛
女性では推奨度C1(行ってもよい)です。外科手術にあたり、費用も高額になる傾向があります。薬による治療を一定期間続けても難しい場合の別の選択肢として、医療機関で相談する位置づけです。
市販薬(第1類医薬品)の使い方|リアップリジェンヌの添付文書から
ガイドラインで女性に推奨度Aとされているのは、1%ミノキシジル外用という成分・濃度の治療です。国内では、この成分を1%含む女性用の第1類医薬品として、リアップリジェンヌ(大正製薬)が販売されています。ガイドラインは特定の製品を推奨するものではありません。リスク区分は第1類医薬品で、薬剤師の説明を受けて購入・使用する薬です。
市販薬を使うときの流れ
- 薬剤師の説明使える人かを確認してから購入する
- 毎日使う1日2回、1回1mLを脱毛している頭皮に塗る
- 6か月で判定少なくとも6か月は続けて、効果を確かめる
- 改善がなければ医師に相談する
PMDAの添付文書情報の案内をもとに編集部作成。使い方の詳細は、必ず最新の添付文書と薬剤師の説明に従ってください。
PMDAの添付文書情報では、次のとおり案内されています。
- 対象は、壮年性脱毛症のある成人女性(20歳以上)です
- 効果の判定には、少なくとも6か月間、毎日使う必要があります。6か月たっても改善がなければ、医師に相談します
- 妊娠中・授乳中の人、20歳未満、妊娠・出産や避妊ピルの中止による脱毛の人、壮年性脱毛症以外の脱毛症の人は使えません
- 高血圧・低血圧、心臓・腎臓の障害、むくみがある人、65歳以上の人は、使う前に医師や薬剤師に相談します
- 副作用として、頭皮の発疹・発赤・かゆみ、頭痛、めまい、胸痛、心拍数の増加、むくみなどが挙げられています
男性用の「リアップ」(5%)も第1類医薬品ですが、添付文書で女性は使えないとされています。ご家族のものを借りて使うことは避けてください。
市販薬で始める場合も、薄毛の原因が女性型脱毛症とは限らないため、使い始める前に一度皮膚科で原因を確認しておくと安心です。添付文書は、PMDAのリアップリジェンヌ 添付文書情報で確認できます。
治療を続ける期間と、費用の考え方
期間の目安
- リアップリジェンヌの添付文書情報では、効果の判定に少なくとも6か月、毎日使うことが求められています
- ガイドラインが紹介する女性のミノキシジル外用の試験は、24週間(約6か月)です
- 通院の間隔は医療機関や処方によって異なります。診察のたびに次の受診時期を確認してください。途中で自己判断でやめると、治療前の状態に戻る可能性があります
変化の感じ方には個人差が大きく、期間を過ぎても変化が小さい場合もあります。3か月ごとなど区切りを決めて医師や薬剤師と見直しながら、効果の判定は少なくとも6か月程度続けたうえで行うのが現実的です。
費用の考え方
薄毛治療は、市販薬も自由診療も、年単位で続けることが前提になります。月額だけで比べず、12か月分の総額で考えると、思っていた金額とのずれが起こりにくくなります。
- 市販薬:薬局やドラッグストアで価格が異なります。購入時に1本あたりの使用期間を薬剤師に聞くと、1年分の目安を計算しやすくなります
- 皮膚科:別の病気が見つかった場合の診察は保険診療になることがあります。FAGAの治療薬そのものは自由診療が一般的で、費用は医療機関ごとに決められています
- 自由診療の専門クリニック:同じ成分でも金額は院ごとに違います。この記事では特定の院の価格は載せていません
見積もりで確認したい項目は次のとおりです。
- 処方する薬の種類と、1か月あたりの金額(国内承認薬か未承認薬かも)
- 12か月分の総額と、契約期間の途中でやめたときの扱い(返金・違約金・既払い分)
- 初診時の診察料、血液検査、送料などの別料金
- 返金保証や割引がある場合、その条件(支払い方法、通院の継続など)を契約書で確認する
価格だけで医療機関の優劣は決まりません。診察の説明の丁寧さ、通いやすさ、副作用が出たときの連絡先もあわせて見てください。
国内未承認の薬をすすめられたときに聞くこと
自由診療では、国内で承認されていないミノキシジル内服などを含む、院独自の処方をすすめられることがあります。ガイドラインが内服ミノキシジルを推奨度Dとしていることは、前の節で説明したとおりです。使うかどうかは、次の点を聞いてから決めても遅くありません。
未承認薬をすすめられたら、聞いておきたい4つのこと
- 国内の承認その薬は国内で承認されているか。未承認の旨を書面や画面で説明してもらえるか
- 入手経路院が輸入しているのか。どこで作られた薬なのか
- 国内承認品の代わり国内承認の外用薬だけで始める選択肢と、その費用はどうか
- 副作用が出たとき海外の安全性情報、連絡先、受診できる医療機関はどこか
個人輸入された医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象外です(厚生労働省)。口頭だけでなく書面でも確認すると安心です。
国内で未承認であることは、それだけで危険という意味ではありませんが、品質・有効性・安全性を国が審査していない点が承認薬と違います。副作用が出たときの公的な救済が受けられない可能性があることも含めて、納得してから決めてください。
妊娠・授乳中、妊活中の方へ
妊娠中・授乳中・妊娠の可能性がある場合は、使える薬が大きく限られます。
- リアップリジェンヌは、妊娠中・授乳中の人は使えないと添付文書に書かれています
- フィナステリド・デュタステリドは、妊婦、妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性への投与が禁忌です
- スピロノラクトンは、妊婦または妊娠している可能性のある女性には有益性が危険性を上回る場合に限られ、授乳中は成分が母乳に移行します
妊娠・授乳・妊活の予定がある場合は、どの治療を選ぶときも、診察や薬剤師の説明の前に必ず伝えてください。出産後は、休止期脱毛で抜け毛が増えることもあり、女性型脱毛症とは別の対応が必要になる場合があります。
治療と並行して見直したい、毎日の習慣
食事や睡眠を整えることは、薄毛の治療の代わりにはなりません。それでも、貧血や極端なダイエットが脱毛の原因になりうることは、ガイドラインにも書かれています。体の土台を整える意味で、次の記事も参考にしてください。
- 肌と体を支える食事の基本|主食・主菜・副菜と栄養の考え方を整理
- たんぱく質と美容・健康|1日にどれだけ必要か、プロテインは要るのか
- 睡眠の質を上げる方法|今日から変えられる順に、効果の大きい対策を整理
- アンチエイジングで本当に効くこと|優先順位と期待しすぎない方がいいもの
男性のAGA治療を調べているご家族がいる方へ
「夫や父、パートナーの薄毛が気になっている」という方も多いと思います。男性のAGAでは、女性とは使える薬が異なります(フィナステリド・デュタステリドの内服は男性向けで、女性には推奨されていません)。費用の目安や、家族として気をつけたい点は、AGA治療の費用はいくら?月額・年間の目安と7院の料金を整理にまとめています。
まとめ
- 女性の薄毛は、頭頂部を中心に髪全体が薄くなる形が多く、貧血や甲状腺の病気など別の原因が隠れていることもあります。まず原因の確認をおすすめします
- 最初の相談先は皮膚科が選びやすく、治療の幅を広げたいときに自由診療の薄毛専門クリニックも比較する、という順番が考えやすいです
- ガイドライン(2017年版)で女性に推奨度Aなのは、1%ミノキシジルの外用です。フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジル内服は推奨度Dです
- 市販薬のリアップリジェンヌは第1類医薬品です。薬剤師の説明を受けて、少なくとも6か月使ってから効果を判定します
- 費用は月額ではなく12か月分の総額で見ます。国内未承認薬をすすめられたら、未承認であること、入手経路、国内承認品の有無、救済制度の対象外になりうることを確認してください
髪の悩みは、人に話しにくく、一人で抱えやすいものです。この記事で、女性の薄毛の種類、受診先の選び方、治療法の位置づけ、費用と未承認薬の確認点は、ひととおりそろいました。
気になったら、まずは皮膚科で、抜け毛の原因と、自分に合う治療の選択肢を聞いてみてください。話を聞くだけでも、何から始めればよいかの見通しが立ち、迷いはぐっと減ります。効果の感じ方には個人差があり、治療方針は診察で決まります。
関連記事
- AGA治療の費用はいくら?月額・年間の目安と7院の料金を整理
- 肌と体を支える食事の基本|主食・主菜・副菜と栄養の考え方を整理
参考にした情報
- 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版(日本皮膚科学会)(日本皮膚科学会の公式サイトで公開されている最新版。2026年10月24日確認)
- 国内未承認のいわゆる発毛薬の服用が原因と考えられる健康被害の発生について(厚生労働省 事務連絡・2018年10月30日、日本皮膚科学会掲載)
- 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ(厚生労働省)
- リアップリジェンヌ 添付文書情報(PMDA)
- リアップ(男性用) 添付文書情報(PMDA)
- アルダクトンA 添付文書情報(PMDA)
- The Efficacy and Safety of Oral Spironolactone in the Treatment of Female Pattern Hair Loss(Cureus, 2023)
本記事は2026年10月24日時点の公開情報をもとに作成しています。効果・副作用には個人差があり、特定の治療の効果を保証するものではありません。治療を検討される際は、医療機関での診察や薬剤師への相談を受けてください。